金沢レセプト債訴訟・消費者問題

消費者問題のほか集団訴訟事件に関する報告などを取り上げています

アーツ証券株式会社ほかによる診療報酬債権等流動化債券(レセプト債)に係る偽計事件の告発について(2)

3月に刑事告発され,その後公訴提起がなされた事件について,証券取引等監視委員会のHPにおいて,告発事実等が記載されていました。

 

http://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2017/2017/20170327-1.htm

 

投資家に対する詐欺および偽計として構成されており,偽計の法定刑は

法定刑:自然人につき、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又は併科、法人につき、7億円以下の罰金

と非常に重い法定刑となっています。

 

被告らが今後の刑事裁判で被告側がどのような対応をとるかが注目されますので,弁護団としても,情報を収集しながら注視していきたいと思います。

 

レセプト債訴訟・期日報告

≪弁論準備手続期日≫

 本日午前11時から,第1次~第3次訴訟の弁論準備手続(テレビ電話会議)が行われました。

 期日で金沢地方裁判所に出廷したのは,竹松証券の代理人のみで,その他の代理人は東京地方裁判所に出頭してテレビ電話回線を通じて期日が行われました。。

 期日では,原告から提出された第2準備書面,第3準備書面,求釈明申出書等のほか,被告らから提出された準備書面がそれぞれ陳述されました。

  

≪今後の予定≫

1 期日指定(いずれもテレビ電話会議システムを利用した弁論準備手続)

  5月22日 午後1時30分

  7月10日 午後1時30分

  9月21日 午前11時(今回の期日で新たに指定されました)

 2 次回期日の予定

  被告側,主に竹松証券と会計事務所関係らから,原告らの第2,第3準備書面に対して反論する準備書面が提出される予定です。

  原告側からも,アーツ証券役員とオプティ社ら役員から提出された被告準備書面に対して,反論する準備書面を提出する予定です。

<レセプト債事件>被害救済に差 窓口の証券破綻、回復困難

「レセプト債」を巡る事件で、ファンド運営会社オプティファクター(東京都渋谷区)と中心的な販売窓口だったアーツ証券(同中央区)が破綻し、アーツを通じて債券を買った投資家はほとんど償還を受けられなくなっている。その一方で、被害回復を進めている証券会社もあり、投資家保護の面で深刻な不公平が生じている。【平塚雄太】

 

7社のうち、おきなわ証券那覇市)と上光証券(札幌市)の2社は、一定の被害回復金を払う方向で調停を進めている。関係者によると、両社を通じて債券を買った投資家はオ社からの配当と合わせて7割以上を取り戻せる見通しだという。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170313-00000052-mai-soci

 

レセプト債は,全国の証券会社を通じて販売されており,商品内容は同一ながら,どこの証券会社から買ったかで購入者に大きな不公平が生じています。このことは,私募債に関する自主規制制定においても議論されており,

金融庁からは

顧客がどの証券会社と取引をするか判断する材料として、顧客が証券会社の財務状況等を容易に確認できるようにするためにも、証券会社は自社HP上でディスクロージャー誌を公開するなど、 財務状況等の情報開示をより進めることが望ましい。」などと指摘されていました。

 ただ,現実的に考えて,仮に,ディスクロージャー誌がHPで公開されても,必ずしも,その内容を見て証券会社の財務状況を判断できる投資家ばかりではないですし,今回のような事態を防ぐことができたかといえばかなり疑問です。。

 とはいえ,同じ商品を購入しながら,販売証券会社によって対応に大きな差異がありますので,今回の件は損害賠償請求で解決し,将来的には立法等で手当されることが望ましいと思います。

元アーツ証券社長ら逮捕=レセプト債破綻、金商法違反容疑-千葉地検

 医療機関の診療報酬請求権を債権化した「レセプト債」の発行元ファンドなどが破綻した問題で、千葉地検特別刑事部は15日、安全性が高いと虚偽の説明をしたなどとして、金融商品取引法違反(偽計)の疑いで元アーツ証券社長川崎正容疑者(63)=千葉市緑区=ら3人を逮捕した。地検は認否を明らかにしていない。
 他に逮捕されたのは、ファンド運営会社「オプティファクター」元社長の児泉一容疑者(36)=東京都品川区=と、元アーツ証券役員江連昌一容疑者(56)=同=。

http://www.jiji.com/jc/article?k=2017021501071&g=soc

 

 これまでも何度かニュース等が流れていた強制捜査がいよいよ開始されたことで,今後,資金の流れや具体的な関与者なども含めた真相が解明されていくことを期待します。レセプト債は,全国的に多数の投資家から227億円あまりを集めて,実は,診療報酬債権の買い取りに充てられた資金が1割程度だったというデタラメな詐欺的投資商品でした。その詐欺的投資商品を組成し,あるいは運用に関与し,また,レセプト債の実態を知りながらも事実を伏せたまま販売を継続させて被害を拡大させた者に対しては,きっちりと刑事責任を負担させることが,被害に遭った投資家の救済のみならず,今後の健全な金融取引を確保する上でも重要です。

 強制捜査でなければ真相解明が実現できない部分も大いにあると予想されるところで,その捜査結果は,金沢での訴訟にも大いに影響があると思われます。今後の捜査に期待いたします。

アーツ証券元社長ら告発へ 証取委、偽計罪で 千葉地検立件へ捜査

http://www.sankei.com/affairs/news/170206/afr1702060001-n1.html

 

医療機関の診療報酬請求権を買い取り「レセプト債」と呼ばれる債券を発行していたファンドなどが破綻した問題で、証券取引等監視委員会が、債務超過を隠して債券を販売していた「アーツ証券」(東京、破産)の元社長らと、ファンドの運営会社「オプティファクター」(同)の元社長について、金融商品取引法の偽計罪で千葉地検刑事告発する方針を固めたことが5日、証券関係者への取材で分かった。千葉地検は立件に向け、詰めの捜査を進めているもようだ。

 監視委は当初、金商法の虚偽告知罪で告発する方針だったが、両社の元社長らが虚偽の財務書類を作成していたことや、被害額が巨額に上ることなどから、より罰則の重い偽計罪を適用する方針に転換した。

 

 いよいよ刑事事件も立件に向けて大詰めのようですが,強制捜査により事案の解明や責任の所在等が明らかになることを期待いたします。

債務者口座の開示,3メガ銀出そろう 確定判決や和解が条件

 みずほ銀行は民事裁判の支払い義務を果たさない債務者の預金口座情報について、債権者からの請求に応じて開示を始めた。確定判決や和解調書など債務の存在を確認できる文書を示し、弁護士を通じて照会することが条件。既に三菱東京UFJ銀行と三井住友銀行は開示しており、3メガ銀の対応がそろった。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS19H2P_Z10C17A1PP8000/

 

 以前にもご紹介したように,強制執行を行うには銀行名,支店名を特定しなければならないというのが現在の実務です。ところが,判決などがあってもお金を支払ってこない債務者の預金がどこの支店にあるか,また,残高がいくらであるのかというのは債権者が把握しにくい事実でした(債務者に察知されずに調査する必要があるため,債務者に尋ねるわけにもいきません)。

 もっとも,上記記事にもあるように,弁護士会照会を通じた照会がなされた場合,各銀行で条件等は異なるものの,支店名,預金残高等の回答を得ることができるようになってきました。この回答を得られれば,効率的に強制執行することができますし,あるいは,「預金がない」「残高が○○円しかない」ということが判明すれば,それを前提に次の法的措置等を検討することもできます。上記記事にある3メガバンクのみならず,他の都銀,地銀でもこの大きな流れの中にあり,強制執行の実効性が上がりつつあります。今後も,この流れの中でさまざまな,いい意味での変化が生じることを期待します。

レセプト債訴訟・期日報告

≪弁論準備手続期日≫

 本日午後1時30分から,第1次~第3次訴訟の弁論準備手続(テレビ電話会議)が行われました。

 期日で金沢地方裁判所に出廷したのは,竹松証券の代理人のみで,その他の代理人は東京地方裁判所に出頭してテレビ電話回線を通じて期日が行われました。。

 期日では,原告から提出された訴状(第3次提訴分)等のほか,被告らから提出された準備書面がそれぞれ陳述されました。

 被告らから提出された証拠類については,番号の振り直し等がなされた上で,次回期日で取り調べることになりました。

 また,第3次訴訟についても併合決定がなされ,第1次~第3次訴訟が1個の事件として審理されることになりました。

 

≪今後の予定≫

1 期日指定(いずれもテレビ電話会議システムを利用した弁論準備手続)

  3月27日 午前11時

  5月22日 午後1時30分

  7月10日 午後1時30分

 2 次回期日の予定

  原告側から,被告らの各準備書面に対して反論する準備書面を提出する予定です。